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水中での色の見え方

dot2red.gif (189 バイト)3原色には2つある

 ○色光の三原色→黄みの赤紫みの青(一般的にはRGBと呼ぶ)
 ○色料の三原色→シアン(緑みの青)マゼンタ(赤紫)イエロー(黄)(一般的にはCMYと呼ぶ)
   (注:上記の各色の色表示は正確ではございません。勝手にイメージでつけました)

日常に3原色というと後者を指しますね。俗に赤・青・黄のことです。周知のように、色料の3原色はいわば絵の具の原色です。全部混ぜるとほとんど黒になります。ところが、私たちが色を感じる際に重要なのは、色料のほうではなくて色光の3原色なのです。全部混ぜると透明になります。昼間の光は透明ですね。それをプリズムなどで分けると例の虹の色となるのですね。

dot2-yellow.gif (190 バイト)色が見えるということ

では色が見えるということはどういうことなのでしょう?漆黒の闇では何も色を感じることができません。それは光(可視光)が全くないからです。おなじように光が届かない深海では、色を認識できません。色光の3原色を先に取り上げましたが、私達の眼の網膜にはそれらの原色に対応した3種の桿状体とよばれる感覚器が備わってます。その桿状体からのシグナルを脳が認識し、私達が感じる”色”のイメージを作り上げます。(魚には4種の桿状体が存在するという節もあります)

赤い色を放つ物質は赤以外の色を吸収しています。その結果私達の眼には赤い色のみが届き、赤というイメージができます。でも、それも光がないとイメージを作ることができません。真っ暗では、何も見えないということです。では薄暗い状況や霞がかかった状況ではどうでしょう?たぶん、状況によて本来の赤のイメージとは違った色になると思います。

水中においても同じことが言えます。水は色を吸収する働きがあります。また、濁っていたり、空中の明るさが足りない場合でも本来の色をイメージすることはできません。透明度抜群で、空中の明るさも十分にある最高の条件下でも、水中で物質本来の色を発することができる深さはせいぜい3mだと言われてます。

以下にご紹介するサイトでは、水中での色の見え方について大変わかりやすい説明をされております。ぜひご参照下さい。

http://www.makinouen.co.jp/diving/p_technic1.html

針やラインの色を論じる際にはこれらの点も考慮して置く必要がありますね。

dot2-green.gif (189 バイト)蛍光色について

スペクトル(波長成分)の中で人間に見える範囲が「可視光線」で、物体はスペクトルの大部分を吸収し、一部が反射して見える、これが可視スペクトルです。蛍光物質は短い波長を吸収し、放出される長波長が基本の色素に同調することで発光が際立って見えるのです。通常の色は自然光を受けたうちの特定の波長のみを反射し、他の部分を吸収して熱として放散しますが、蛍光色の場合は吸収部分の多くが熱に変わらず、反射光と同位相の波長光としてプラスされることにより放出する光が増幅され、極めて鮮明な色彩を得ることができるものです。一般色で最も明度の高い色彩の場合、可視光に含まれる色彩工ネルギーの約90γoを反射しますが、蛍光色ではその反射が2OO1〜3OOγ0になります。

水中では?・・反射光すなわち空気中の明るい場所で見える色彩があくまで基本です。蛍光色はもとの色彩に同調して光を放射するので元の色彩となる光がないと効果がなくなるはずです。つまり・・赤系の蛍光は水深が深くなるにつれて急激にその鮮やか味を減弱させてしまうと思います。これに対して緑系の蛍光ではある程度の水深でも効果があると思います。

蛍光色の使い分け 

水深が浅い(おおむね3m以内)場所で明るくすんでいる場合
・・・・蛍光赤 蛍光黄 蛍光緑 が効果的

水深が中程度(5mまで)、またはやや暗い、やや濁っている場合
・・・・蛍光黄 蛍光緑 が効果的

水深が深い、あるいは薄暗い状況や濁りがある場合
・・・・蛍光緑 が効果的

dot2-yellow.gif (190 バイト)畜光について

釣りの世界でよく使われる畜光・夜光という言葉は光化学の世界では燐光と呼んでいます。ちなみにある物質に放射された電磁波(可視光以外も含みますので)の内、吸収されないでその物質の表面や物質内部から出ていくことを再放射と言います。再放射の波長が入力されたものと同じ場合は、反射・もしくは透過と称し、異なった波長でしかも元の色彩の波長に同調して再放射される場合を蛍光、入ってくる放射の源が断たれた場合でも放射が続く場合を燐光と呼びます。燐光と蛍光の差は入射する電磁波によって物質が励起される状況が異なる為です。燐光の場合はより安定した励起状態なので、放射が微弱ながら長時間に及びます。畜光塗料が最初に実用化されたのは時計の文字盤だそうです。以前はラジウム(γ線)を利用していたようで、健康上の問題も指摘されており、私も大学で夜光塗料は放射能があると習いました。しかし、その後線源がより飛程の短いβ線源(これは電子線であり電磁波ではありませんが)に代わり安全性が高められさらに1990年代に入って画期的な素材であるアルミン酸ストロンチウムに代わり、被爆の危惧は全く無くなりました。

畜光素材の利点と実際の使用法

蛍光と違い光が無くてもしばらくは発光するので、深い場所や濁った場所でもアピール度は大である。またケミカル発光(後述)と違いランニングコストが安価で再利用も可能であることなど利点が多い。しかし夜間に使用する場合は長時間発光させるにはフラッシュ(市販されていると思います)が必要であるし、むしろ太陽光が十分に得られる昼間での使用が効果的であると考えます。なお高輝度タイプ長時間タイプなど各種市販されているので、各自工夫されたら如何でしょうか?

dot2red.gif (189 バイト)ケミカル発光

上述の蛍光や蓄光よりもさらに積極的な方法といえましょう。シュウ酸ビスという発光物質に過酸化水素の酸化反応によるエネルギーを与え、得られた光を蛍光剤で発色させます。このときに触媒としてサリチル酸ナトリウムを用います。製品ではガラス製の微小内筒とプラスチック製の外筒に反応物質を隔離して、用時折損により成分を混和して反応させてます。光や水分、高温で成分が劣化しますので、保存は密閉乾燥要冷が望まれます。

蛍光の場合は光がないと無力であるし、蓄光の場合は光そのものが弱く持続時間が短いということ、さらには色の種類が限られるという問題があります。明るい場所では赤い色をした蓄光ビーズも暗い場所では黄緑に燐光するなんてことになります。これに対して人為的な化学反応を元にしたケミカル発光は強度・持続時間・選択できる色のどれをとっても最強といえます。

どう使うか?

明るさに関しては強ければよいというものではなく経験的には一晩使ったケミホタルを明るくなって仕掛に再利用するだけで十分な効果があります。私の場合は明るくなってからの流用を想定して穂先ライトはケミホタルミニを使ってます。段差仕掛(針数は2本の単純なもの)の幹糸とハリス分岐部にケミホタルミニを装着します。製品に同梱されているパイプを適当な大きさに切断して使うと便利です。この場合は色は黄緑となりますが、キスやカレイには十分効果があります。特に水温の低いとき、にごっている時、当たりがなくなったときなどに著効をみることがあります。浮力があるのでその効果もあるかもしれません。スイチカルミコのサイトhttp://www.nkh.co.jp/nkhjp/product/figood/syugyo/data01.html ではキスにはオレンジが良いとされてますが、私は比較データを持ち合わせておりません。ただ今までの色に対する検討からオレンジ色や赤系の色は到達距離に難点があるのでは?と感じます。また同サイトでは、セイゴなどにはブルーが効果的とされてますが、ブルーの色は海ホタルや発光軟体動物の出す発光色で、外敵への警戒色(防御色)とも言われてます。実際に海ホタルが目立つときには魚がほとんど釣れないという印象を持ってます。ただし内封されている蛍光物質は周りの明るさに応じて色が変化することがあるらしく難解な問題をはらんでおります。ひとつだけいえることは、少なくともケミホタルミニを装着してキスなどの魚が釣れなくなったことがないことです。つまりマイナスにならないということです。釣り観にもよりますが、釣れ渋った場合にそのまま同じことをして結果を待つか、差別化によって頭ひとつ抜け出ることを考えるか?私なら後者を選びます。

(溶媒として環境ホルモンの懸念があるフタル酸エステルの一種が用いられてます。分解性は良好のようですが、使ったあとは責任をもって回収してください。)

dot2-yellow.gif (190 バイト)金と銀・・

汎用されるものに金属色のデコレーションがあります。広く考えれば金の鈎もそうかもしれません。金や銀などの金属は色素を含んでいないそうです。では、何故金属の種類で色が異なるのでしょうか?その前に金属が光るメカニズムを考えてみましょう。金属特有の”色”は構成する金属イオンと自由電子の存在が鍵となっているそうです。光が金属表面に当たると、金属イオンと自由電子がエネルギーを受けて励起し共鳴振動という現象を起こすそうです。そしてその振動のエネルギーの一部を表面から放射します。この放射が可視光の全範囲で起これば鏡のようにピカピカとなります。しかし金属の種類によって放射する光のスペクトル範囲が異なっている為に様々な色が放射される結果となります。銀の場合は可視光のすべてのスペクトルの光を効率よく反射しますので、あのような銀色となります。しかし金の場合はその放射が黄色領域に偏っている為に黄色味がかったあの”金色”となります。また銅の場合のそれは赤領域に偏るそうです。

以下にキリヤ化学 http://www.kiriya-chem.co.jp/l さんのサイトからの解説文を引用します。このサイトは色についてとても解りやすくまとめられてます。

金、銀、銅の反射率と波長依存性

反射率を光の色で表すと、銀では赤が98%、緑98%、青97%ですので、全ての波長で反射率が高く、鏡のように見えます。鏡は金属として安価なアルミニウムが使われますが、アルミニウムの赤の反射率が90%、緑が91%、青が92%です。アルミニウムの反射率は銀には負けますが、それぞれの色で均一に反射しています。 金の反射率は光の紫外域(400 nmより左側)から可視域(色の着いている部分)の短波長側できわめて低く、可視域中央の550 nmの部分より高くなり始め、600 nmで62%、遠赤外では98%の高い反射率を示します。赤−黄−緑の反射率が高く、それより波長の短い青−紫の反射率が低いので、黄色ですが、金の表面は周りの写し込みがあるため複雑な金色となるのです。金は軟らかくて、0.07μm程度の厚さまで箔にすることができますが、このような箔をすかしてみると黄色の補色の緑色に見えます。 銅の場合は、赤の600 nmで93%の反射率があり、緑の550 nmになると67%に低下するので、赤く見えるのです。金銀銅の場合を表にしたものが http://www.kiriya-chem.co.jp/q&a/q26.html です。

これらから見えるもの・・

水中での光の見え方は既述した通りです。それに今回の知見を重ねると、金と銀・・おなじ有り難い貴金属(の色)と言っても水中でのアピール度には差があると思います。銀はすべての可視光のスペクトルで効率良く光を反射しますので、水深や濁りなどが少々あっても光が届けばある程度の効果は期待できるものと思われます。しかし、金の場合は効率良く反射できる光のスペクトルが偏っており、特に水中では減弱しやすい光を好んで反射するので、銀に比べるとアピール度は低いような気がしてます。すなわち水中では銀が上位なのです。

 

 

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