recounted2007.01.26

身近な大ギスフィ−ルド:水晶浜釣行記

 晩秋の水晶浜は大ギスが釣れる。そういう情報をもとに釣友の多田氏から釣行の誘いを受けたのは、10月初旬のことであった。確かに釣り雑誌などでは大ギスの実績が報告されてはいるが、あまりにも安近短でファミリ−釣り場のイメ−ジが強すぎ真剣にチャレンジしたことはなかった。また大ギスが報告されている時期も初夏のことが多く、半信半疑で話を聞いていた。しかし他ならぬ多田氏の誘いでもあったので、予定をあわせて釣行の運びとなった。

 10月18日(土)午後2:00。天候は晴れ、しかも微風。予報では北陸地方も穏やかな週末になるという。多田氏の他、同じく釣友の長屋氏と3人で集合場所の一宮を出発し、名神高速〜北陸道を経て一路水晶浜へと向かう。車中では釣り談義に花が咲き、多田氏からは、水晶浜大ギスポイントの説明もあった。

 道も空いていたせいか3:00すぎには敦賀に到着。R27を舞鶴方向へと向かう。美浜原発の道標のある交差点を右折し、敦賀半島に入る。眼下には佐田浜が広がるが、波長の長い波が押し寄せ、濁りもかなりある。波は投げ釣り最大の敵である。水晶浜は穏やかであることを祈りつつ、車をすすめる。途中菅浜の生協で食糧を調達し、4:00すぎには水晶浜に到着。手前のダイアモンドビ−チではかなりの波があったが、幸いこちらの波は低い。風も西向きながら微風。波口水温21℃。水色もよく良好なコンデイションである。

 はやる気持ちを押さえ、めいめいが狙ったポイントに釣り座を構える。私は水晶浜中央付近の波高が低いところを選んだ。私の場所から長屋氏は右10m、多田氏は左15mのところに場所をとった。

 水晶浜は遠投が有利な為、ラインはPEの細糸を選定した。第1投は4:15。まずはおかず確保ということで、キス競技用8号3本ハリの細仕掛けを取り出し、フルスイング、5〜6色ラインを攻める。糸ふけをとったらすぐにブルッというキス特有のアタリ。22センチの良形キスをゲット。ボウズを免れ安堵感が走るが、ジアイを逃さぬよう次の手を繰り出す。距離を稼ぐ為、置き竿で狙ったので、投数は多くなかったが、それでも17:00までに20センチクラスのキス5匹と、小メゴチ、チャリコを数匹ずつ追加した。その後アタリが遠のいたので、となりの多田氏と歓談していると、左の遠投竿に激しいアタリ。穂先が1m程引き込まれた。即座に糸を送り込み、一呼吸おいてから軽くあわせリ−ルを巻くと重量感が伝わった。巻いてくる間にもブルブルと生物反応がする。引きが強いのでキスではないと思ったが、波口の引き込みを慎重に取り込むと、引き波の間から巨ギスが姿を現した。メジャ−をあてるとゆうに28センチを超えていた。すわチャンスと興奮さめやらぬ内に遠投を繰り返すが、釣れるのは中型ばかりで後が続かない。

 アタリも止まり、19:00を回ったぐらいで小休止、寒さもきつくなったので夕食とした。コッフェルで湯を沸かし、カップラ−メンをすする。身も心も温まり、戦いの再開となった。その直後、右側の竿に弱いアタリ。しばらく放置し、竿を引いて訊いてみると、ぶるぶると小気味よい感触が伝わる。先程のキス程ではないものの、それでも27センチオ−バ−の大ギスをゲット。投げる腕にも気合いが入る。

 この頃から波が高くなり始め、風も強くなってきた。おまけにそれまで根掛かりなど全くなかったのに、遠投すると途中から強烈な根掛かりを連発するようになり、高価なPE糸も高切れしてしまった。泣く泣く片方のリ−ルのラインをナイロン2号に交換。正面を避け左右に投げ分けることにした。21:15頃、右の竿のラインが大きく右に流れていることに気づく。竿を訊いてみるとかなりの重量感。ポンピングを繰り返しリ−ルを巻いてくるが、意外とすんなりと巻ける。しかし手前に来たあたりでフッと軽くなってしまったので、バレタかと思ったその直後、激しい引き込みと横走りをされ、クロダイの大型か!と思い、波に乗せ慎重に取り込んだ。月光に照らしだされた魚体は鈍い光をはなっている。すぐにスズキとわかり、あわてて波打ち際に走り寄り陸に引きずり込んだ。検寸すると63.5センチ!自己最長寸である!あまりのうれしさにしばらく茫然としてしまった。運がよいと思うよりむしろ怖さが先にたった。しかし幸運の女神は気まぐれである。彼女を逃さない為にも、一生懸命頑張らなくてはならない。仕掛けをシモリ浮きのついた丸セイゴ16号に替え再投入する。左の竿を訊いてみると極めて軽い。エサの点検の為に巻き上げる途中、岸近くで激しいアタリ!どうやら途中で喰いついたらしい。しかしラインがPEの為か、波打ち際でプッツン。(あとからわかったことですが、PEとナイロンの力糸の結節が甘かったようです。それまではPEをほとんど使ったことがありませんでしたので、良い反省材料となりました。)その後、27センチのセイゴを追加したものの、ビックイニングの再現とはならなかった。スズキの回遊のせいか、キスはおろか他魚の魚信も途絶えてしまった。

 意気消沈の私を後目に、多田氏は釣り座を右へ左へと移動させ、執念深く遠投を繰り返す。そして午前0:00を回った頃、多田氏が大きい!といいながら私の目の前に持ってきたのは27センチの大ギスであった。さすがと感心した。私もこのままでは終わらないと、闘争心を奮い立たせ出来る限りの遠投を繰り返すが、根掛かに泣かされ、疲労もピ−クに達したので、午前1:00過ぎにクルマへ戻った。長屋氏も助手席で仮眠している。私も後部座席で1時間ほど仮眠を取った。

 眠い目をこすりながら、海岸へ向かう。多田氏はまだ頑張っている。様子を聞くとその後はさっぱりという。放置しておいた竿をあげてみると、2本ともハリが無くなっている。フグにやられたらしい。仕掛けを付け直し、仕切直しとなった。程なく、長屋氏も起きてきて勝負の再開となった。多田氏が22センチのキスを釣り上げたので、ジアイ到来とばかり頑張るが後が続かない。さすがの多田氏も疲れたのか、クルマに戻ってしまった。私も寒さと睡魔に耐えかねて再びスリ−プイン。釣り場には長屋氏一人が残るのみとなった。

 ふと目をさますと、時計は午前4:00を回っている。黎明のチャンスである。多田氏を起こし、最後のジアイに挑む。パワ−全開で遠投を繰り返すが、心地良い魚信には見放されてしまった。他の二人も苦戦している様であった。しかし午前7:30を回った頃であろう、長屋氏が24センチの良形キスを釣り上げた。結局、これが最後の獲物となった。午前8:00を回り、陽も高くなり、多田氏から、終了の提案がありこれを全員が了承。延々16時間に及ぶ熱闘はピリオドとなった。

私の釣果:

キス:28.6 センチ  1尾

27.4 センチ  1尾

   24.0 センチ  1尾

   23〜20センチ  6尾

   18.0 センチ  1尾

スズキ:63.5センチ 1尾

セイゴ:27.0センチ 1尾

その他:チャリコ、メゴチなど

使用タックル:ロッド:シマノツインパワ−SF425DX

シマノツインパワ−  405CX

       ライン:PE:0.8号、1.5号、ナイロン2,3号

       シンカ−:海草固定25〜30号

       仕掛け @ハリ:ス−パ−キス9号、ハリス;フロロカ−ボン1.5               号段差2本針、ミキ;ホンテロン黒3号

           Aハリ:キス競技用8号、ハリス;ホンテロン黄緑1.0号               3本針、ミキ;ホンテロン黒2号

           Bハリ:カレイ9号、ハリス;フロロカ−ボン3号段差2本               針、ミキ:ナイロン6号

           Cハリ:丸セイゴ16号、ミキ・ハリスともフロロカ−ボン               途中にシモリウキをつける(1本針) 

総括:文頭にも記したように水晶浜の大ギス実績は初夏に報告が多い。盛夏は海水浴の為釣りにならないが、海水浴終了後の9月から12月にかけては、狙って見る価値のあるポイントである。砂浜全体で釣果があるようだが、遠投絶対有利の場所である。水深もないので、敏感な大ギスを散らさぬよう、少人数で静かに釣れば期待大である。